Slack AI(スラック・エーアイ)は、Salesforce傘下のSlackに組み込まれたAI機能群です。別アプリを開かず、チャンネル・スレッド・ハドル(音声ミーティング)・Canvas上で要約・検索・翻訳・ワークフロー生成が動きます。本記事は機能名の羅列ではなく、2025年6月の「AIアドオン廃止→プラン同梱」という業界動向、Basic / Advanced / Enterprise Searchの三段階、Slackbot・TodayとAgentforce連携、管理者によるAI機能の個別制御に絞って書いています。Notion AI・Microsoft 365 Copilot・Fireflies.aiとの棲み分けも整理します。料金・機能は2026年6月時点のSlack公式Helpに基づき、契約前に必ず再確認してください。
試験で問われる見方
生成AIパスポートでは、業務チャットの要約、会議メモ、社内情報の取り扱いが論点になります。Slack AIは「既存のコミュニケーションツールにAIが統合された例」として、ChatGPTのような汎用チャットと区別して覚えると整理しやすいです。
試験で効くポイントは次の3つです。
- Slack AI=Slack本体の機能 — 別製品ではなく、プランに含まれる(旧アドオンは2025年に廃止)
- 要約≠確定議事録 — AI要約は下書き。公開前に人間が確認(TF-0350)
- データ学習なし(公式) — 顧客データをLLM学習に使わないとSlack公式が明記。機密入力の判断は社内ルールと併用(TF-0289)
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生成AIパスポート:一問一答 TF-0201(テキスト生成AIの活用)、TF-0447(文字起こしから議事録下書き)、TF-0350(公開前の確認事項)
関連ツール比較:Notion AI · Microsoft 365 Copilot · Fireflies.ai
Slack AIとは
Slack AIは、組織がSlackに蓄積した会話履歴・ファイル・連携アプリのデータをAIが参照し、要約・検索・翻訳・ワークフロー自動化を提供する機能群です。2023〜2024年にPilotを経て展開され、当初はSlack AIアドオン(有料オプション)として提供されていました。
Slack公式の差別化ポイントは「ブラウザの別タブではなく、すでに使っているSlackの中」にAIがあることです。チャンネル要約、スレッド要約、ハドルノート、Recaps(日次ダイジェスト)、Search answers(自然言語検索)、Slackbot(個人AIエージェント)などが、サイドバーやメッセージ上から呼び出せます。
2024年7月、SalesforceはSlack AI for Enterprise GridにEnterprise Searchを追加。2025年6月にはAI機能の提供方法を大きく変更し、アドオン廃止・プラン同梱へ移行しました(Slack Help Center)。
アドオン廃止とプラン同梱
2025年6月、Slackはプラン変更を発表しました(Help: Updates to feature availability and pricing)。本記事の独自切り口は、このパッケージ転換です。
| 時期 | 提供形態 | ユーザーへの意味 |
|---|---|---|
| 〜2025年6月 | Slack AIアドオン(別途購入) | Pro等+AIアドオンでAdvanced AIを追加課金 |
| 2025年6月発表 | アドオン新規販売終了 | Webサイトからのアドオン購入不可 |
| 2025年8月17日以降の更新 | 既存アドオン契約も新プランへ移行 | ProはBasic AIのみ維持。Recaps等はBusiness+へ |
| 2026年6月時点 | AI機能はFree/Pro/Business+/Enterprise+に段階同梱 | 「AI Tax」——コアプランへのAIバンドル化 |
これはMicrosoft 365 Copilotのように「本体+高額アドオン」型とは異なり、SlackはBusiness+の値上げ(Advanced AI同梱)とEnterprise+新設(Enterprise Search同梱)でAIを取り込みました。契約更新時に「アドオン料金が消えた=実質値下げ」と勘違いせず、新Business+の単価上昇を確認することが重要です。
プラン別AI機能マトリクス
Slack Help「Slack plans and features」「Manage access to AI features」に基づく2026年6月時点の整理です。
| AI機能 | Free | Pro | Business+ | Enterprise+ |
|---|---|---|---|---|
| Conversation / thread summaries | ○ | ○ | ○ | ○ |
| Huddle notes | ○ | ○ | ○ | ○ |
| Search answers | — | ○ | ○ | ○ |
| Recaps(日次ダイジェスト) | — | — | ○ | ○ |
| File summaries / Translations | — | — | ○ | ○ |
| Workflow generation / AI workflow steps | — | — | ○ | ○ |
| Slackbot(個人AIエージェント) | — | — | ○ | ○ |
| Enterprise search(外部アプリ横断) | — | — | — | ○ |
ざっくり言うと、Basic AI(要約・ハドルノート)はFree/Proから、Advanced AI(Recaps・翻訳・Slackbot等)はBusiness+から、Enterprise SearchはEnterprise+限定——という三層です。試験では「Slack AI=全部無料」も「全部Enterprise+必須」も×です。
SlackbotとToday
Slack AIには、チャンネル横断の要約機能とは別軸のパーソナルAIがあります。
Slackbot
ワークスペースとユーザーを理解する個人AIエージェント。会議準備、レポート分析、プロジェクトブリーフ作成。トーンを学習(Business+以上)。
Today
未読メッセージの壁から「今日やるべきこと」を抽出するインテリジェント・ブリーフィング(Early Access、Slack公式)。
Recaps
チャンネル活動の日次ダイジェスト。Slack公式Pilotでは週97分の時間節約(社内分析)を公表。
Message explanations
専門用語や社内略語の説明。グローバルチームのオンボーディングに有効(Business+以上)。
「要約ボタン」と「Slackbot/Today」は用途が異なります。前者は特定チャンネルの情報圧縮、後者は個人の優先度に基づくブリーフィング——試験より実務ですが、導入説明では分けて伝えると現場の納得感が上がります。
Enterprise SearchとAgentforce
Enterprise Search(Enterprise+)は、Slack内の会話・ファイルに加え、接続した外部アプリを横断検索する機能です。2026年6月時点でSlack公式はGoogle DriveとGitHubをサポートし、SharePoint・OneDrive・Jira等は「coming soon」と案内しています(Slack Blog)。
技術的にはRAGで、各システムの権限設定を尊重しながら結果を返します。これはMicrosoft 365 CopilotのGraph接地と対照的に、Slack中心組織の federated searchという位置づけです。
さらにSlackはAgentforce(Salesforceのエージェント基盤)の会話UIとして機能します。AgentforceエージェントがSlackチャンネル・スレッド・DM上で動作し、Enterprise Search経由でリアルタイムメッセージ・ファイル・アプリデータを参照できます。Adobe Express、Asana、Box、Cohere、Workday、Writer等のMarketplaceエージェントも利用可能です(Slack公式FAQ)。
管理者によるAI制御
Slack AIは便利な反面、要約・検索の情報漏えいリスクをIT部門が懸念しがちです。Slack公式は、オーナー/管理者がAI機能ごとに利用者を制限できると明記しています(Help: Manage access to AI features)。
- Everyone / No one — 機能単位で全員許可または全員禁止
- Huddle notes — チャンネルでの自動ノート設定可否
- Search / Slackbot — ファイルを回答生成に使うか、回答共有可否
- Slackbot — Canvasの自動作成・編集可否
Search answersのファイル設定はSlackbotにも適用されます(公式Note)。「AIを入れたが規制業界で使えない」ケースでは、機能単位OFFが可能かどうかを事前に確認してください。
よくある誤解
「Slack AI=Fireflies.ai」——Firefliesは外部会議ボットがZoom等に参加して文字起こしします。Slack AIはSlack内のハドル・チャンネルが対象で、録音インフラが異なります。
「Slack AIアドオンを買えばAdvanced AI」——2025年6月以降、新規アドオン販売は終了。Advanced AIはBusiness+以上へのプランアップグレードが必要です。
「要約したから議事録確定」——AI要約は下書き。決定事項・アクションアイテムは人間が確認してから共有(TF-0350)。
「Enterprise Search=Business+でも使える」——Enterprise SearchはEnterprise+限定。Business+はSlack内Advanced AIまでです。
料金プラン
AI機能はプランに同梱されるため、Slack本体の席単価が実質的なAI料金です。以下はSlack公式Pricingの2026年6月時点のUSD目安(年払い)。日本円・地域差は公式で確認してください。
Free
$0
Basic AI(要約・ハドルノート)
Pro
$7.25/席
年払い・Search answers等
Business+
$15/席
年払い・Advanced AI同梱
Enterprise+
要問合せ
Enterprise Search・Grid
| プラン | 月額目安(年払い) | AI tier | 主な追加価値 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | Basic AI | 要約・ハドルノート(90日履歴等の制限あり) |
| Pro | $7.25/席 | Basic AI+Search | 無制限履歴・Search answers |
| Business+ | $15/席 | Advanced AI | Recaps・翻訳・Slackbot・Workflow AI |
| Enterprise+ | 要問合せ | Advanced+Enterprise Search | 外部アプリ横断検索・Agentforce |
Business+は2025年のAI同梱に伴い値上げされています。旧アドオン契約からの移行時は、機能維持に必要なプランをRenewal前に確認してください。
使い方・はじめ方
- プランを確認する 利用したいAI機能(Recaps、Slackbot、Enterprise Search等)がプランに含まれるか確認します。
- 管理者設定を確認する IT部門がAI機能を制限していないか、Settings → AI featuresを確認します。
- チャンネル要約を試す チャンネル名横の「✨」または要約メニューから、未読チャンネルのダイジェストを生成します。
- ハドルノートを有効化 ハドル開始時にAIノートをON。終了後に要約・アクションアイテムを確認します。
- Slackbot / Search answersを活用 Business+以上では自然言語で社内情報を検索。回答は必ず人が検証します。
ビジネスでの活用例
営業(Sales)
- アカウントチャンネルのRecapsで案件状況を朝一把握
- Slackbotで顧客ミーティング準備
- Salesforce連携AgentforceでCRM参照
エンジニアリング
- インシデントチャンネルのスレッド要約
- Enterprise SearchでGitHubの過去Issue検索
- ハドルノートで障害対応の記録
カスタマーサポート
- 長いエスカレーションチャンネルの要約
- 翻訳機能でグローバルサポート
- Workflow AIでチケット連携自動化
マーケティング
- キャンペーンチャンネルのファイル要約
- 多言語チーム向けインライン翻訳
- Canvas AIでブリーフ生成
メリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| Slack内完結——別タブのAI不要 | Advanced AIはBusiness+以上(コスト増) |
| 会話履歴という組織資産を直接活用 | M365/Notion中心組織には効きにくい |
| 顧客データをLLM学習に使わない(公式) | Enterprise SearchはEnterprise+限定 |
| 管理者がAI機能を機能単位で制御可能 | 要約精度・ハルシネーションは人間確認必須 |
| Agentforce/Salesforceエコシステム連携 | 2025年アドオン廃止で契約整理が必要 |
Notion AI・M365 Copilot・Firefliesとの比較
| 比較項目 | Slack AI | Notion AI | M365 Copilot | Fireflies.ai |
|---|---|---|---|---|
| 主戦場 | Slackチャンネル/DM | Notionページ/DB | Word/Excel/Teams | Zoom/Meet/Teams会議 |
| 入力データ | Slack会話・ファイル | Notion+連携アプリ | Microsoft Graph | 会議音声 |
| 課金形態 | プラン同梱(2025年〜) | Business $20/人〜 | M365+$21〜$30/人 | Free〜$39/席 |
| 会議文字起こし | ハドルノート(Slack内) | AI Meeting Notes | Teams要約 | 外部ボット型(Fred) |
| 向く組織 | Slack中心のチーム | Notion中心のチーム | Microsoft 365中心 | 多ツール会議録 |
Slack AIは「チャットが主データ」の組織向け、Firefliesは「外部会議が主データ」向け——併用も多いです。SlackにFireflies通知を流す構成はある一方、機能の重複部分(要約)はどちらを正とするか社内ルール化が必要です。
こんな人におすすめ
- すでにSlackを全社コミュニケーション基盤にしているチーム
- チャンネル未読・長スレッドの消化に時間を取られている現場リーダー
- Salesforce/AgentforceをSlackから触りたい営業・CS組織
- 試験で「業務ツール統合型AI」のSlack例を押さえたい学習者
あえて向いていないのは、Microsoft Teams/365が主戦場の組織(M365 Copilot優先)、FreeプランだけでAdvanced AIを期待するケース、Zoom会議の文字起こしだけが目的の場合(Fireflies等の方が直球)です。
よくある質問
Slack AIは無料で使えますか?
Freeプランでも会話・スレッド要約とハドルノートなどBasic AIが利用できます。Recaps・翻訳・Slackbot・Search answers等のAdvanced AIはBusiness+以上、Enterprise SearchはEnterprise+が必要です(2026年6月時点)。
Slack AIアドオンはまだ買えますか?
いいえ。2025年6月の発表以降、Slack AIアドオンの新規購入は終了し、AI機能は各Slackプランに同梱されました。既存アドオン契約者は2025年8月17日以降の初回更新時に新プランへ移行します。
Slack AIは社内データをLLM学習に使いますか?
Slack公式は、顧客データをLLMの学習に使用せず、LLMプロバイダーも顧客データにアクセスしないと明記しています。LLMはSlackのAWS VPC内でホストされ、Slackの信頼境界内で処理されます(2026年6月時点)。
Slack AIとFireflies.aiの違いは?
Slack AIはSlack内のチャンネル・ハドル・ファイルを要約・検索するネイティブ機能です。Fireflies.aiはZoom/Meet等に参加する外部ボット型の会議文字起こしサービス。Slack連携は可能ですが、主戦場と録音の仕組みが異なります。
Slack AIとMicrosoft 365 Copilotの違いは?
M365 CopilotはWord/Excel/TeamsとMicrosoft Graph上のメール・SharePointを前提にします。Slack AIはSlackの会話履歴と連携アプリ(Google Drive、GitHub、Salesforce等)が中心で、チャットワークフロー内にAIが埋め込まれる点が強みです。組織のコミュニケーション基盤で選び分けます。