n8n(エヌエイトエヌ)は、Fair-codeのワークフロー自動化プラットフォームです。課金の核はExecution——ワークフローが1回完走するたびに1カウント、ステップ(ノード)数は課金に含まれない——という点がMakeのCreditsやZapierのTasksと決定的に異なります。本記事ではExecution課金、セルフホストとCommunity Edition、コード+UIハイブリッド、AI Workflow Builder、Make・Zapierとの比較を整理します。料金と機能は2026年6月時点の情報です。
試験で問われる見方
生成AIパスポートでは、業務自動化(iPaaS)とAIエージェント、外部ツールへの権限・承認の論点が問われます。n8nはZapier・Makeと並ぶ「API連携型の自動化」の具体例として、RPAやChatGPTそのものではない点を押さえると整理しやすいです。
「n8n=完全無料のOSS」「Execution=MakeのCreditと同じ数え方」という誤解に注意してください。n8nはFair-codeで、課金はワークフロー完走単位です。
このサイトの演習で確認する
生成AIパスポート:一問一答 TF-0493(自動化と確認作業)、TF-0240(外部ツールと権限)、TF-0271(承認ステップ)、TF-0321(許可されていないサービスへの入力)
G検定:一問一答 TF-170(生成AI) · 用語:AIエージェント
n8nとは
n8n(n8n.io)は、ドイツ発のワークフロー自動化プラットフォームです。GitHub上で19万+スター(2026年6月時点・公式)を誇り、技術チーム向けに「ノード」をつないでSaaS・API・DB・AIを連携します。
Zapierがノーコード利用者向けの「Zap」中心なのに対し、n8nはUIで組み立てつつ、任意のステップでJS/Pythonを書ける設計です。Dockerで自社サーバーに載せられるため、個人情報・社内APIをクラウド外に閉じたまま自動化できるのが大きな差別化です。
2026年時点、n8nはAI Workflow Builder(自然言語からワークフロー生成)、LangChain連携ノード、AI評価(Evaluations)など、生成AIをワークフローに組み込む機能を拡充しています(公式Product Overview)。
Execution課金モデル
n8n Cloudの課金の核はExecution(本番ワークフローの実行回数)です。公式Pricingの説明では、ワークフローが開始から完了まで1回走る=1 Executionであり、中間のノード数や処理データ量はカウントに影響しません(2026年6月時点)。
| ツール | 課金単位 | 50ステップのフローを1回実行 | 試験・実務の注意 |
|---|---|---|---|
| n8n | 1 Execution | 1回 | 多段処理でも予測しやすい |
| Make | 1 Credit / モジュール | 約50 Credits | イテレーターで急増 |
| Zapier | 1 Task / 成功アクション | 約50 Tasks | Agentsは別枠(Activities) |
公式は「他製品では10,000 operationsかかる処理が、n8nなら1 Executionで済む」例を挙げています。逆に、1分ごとにスケジュール実行するだけの単純フローでも月8,600回近いExecutionを消費するため、頻度設計は必須です。
本番Executionと開発実行
CloudプランではProduction executionsが月次クォータの対象です。エディタ上のテスト実行や手動実行はInsightsダッシュボードで確認できます。Business以上では実行ログの保持期間・同時実行数(concurrent executions)が拡張されます(公式Pricing)。
セルフホストとCommunity Edition
n8nの最大の特徴の一つは、Community EditionをGitHubから入手し、Docker等で自社インフラに載せられる点です。データの所在を自社でコントロールでき、クラウドSaaSにAPIキーを預けたくないケースに向きます。
Community Edition
GitHub公開版。セルフホスト無料。メール登録でフォルダ整理・デバッグピン等を解放(公式Docs)。
n8n Cloud
Frankfurt(EU)ホスト。Starter €20/月〜。インフラ運用不要で始められる。
Business(セルフホスト)
ライセンスキーでSSO・Git版管理・環境分離等を解放。Executionクォータはライセンスサーバーと連携(公式)。
Enterprise
200+同時実行、外部Secret Store、SLA付きサポート、365日Insights等。
試験では「セルフホスト可能なiPaaS=n8n」という定番整理を覚えておくと、Make/Zapierとの比較問題で点を取りやすくなります。ただしFair-codeのため、完全OSS(Apache 2.0等)と同一視しないことも重要です。
コード+UIハイブリッド
n8nのスローガン「Code when you need it, UI when you don't」が示す通り、ノードエディタとコードを行き来できるのが強みです。
| 機能 | 概要 | Make/Zapierとの差 |
|---|---|---|
| Code node | ワークフロー任意位置でJS/Python | Make CodeはCredits/秒課金 |
| HTTP / GraphQL | カスタムAPI、cURLインポート | 社内RESTを直接叩ける |
| 単一ステップ再実行 | フロー全体を再実行せずデバッグ | 開発速度が上がる |
| Mock / Replay | 外部API待ちなしでテスト | CI/CD連携しやすい |
| Git版管理 | Business以上でworkflow diff | インフラチームの運用文化に合う |
| API / CLI | 外部からワークフロー実行・管理 | IaC・監視ツールと統合 |
ワークフロー定義はJSONとしてエクスポートでき、バージョン管理やレビューに載せやすいのも技術者向けの設計です。
AI Workflow Builder
2026年時点、n8nは生成AIをワークフロー内のノードとして統合する機能を強化しています(公式Product Overview)。
| 機能 | 概要 | 試験での整理 |
|---|---|---|
| AI Workflow Builder | 自然言語からワークフロー草案を生成。Cloudは50〜1,000 credits/月(プラン依存) | 設計支援——完成品の自動承認ではない |
| LangChain / AI Agent nodes | LLM・ツール呼び出しをノード化 | AIエージェントの実装基盤 |
| Evaluations | AIワークフローの精度を本番データで検証 | 幻覚・品質管理の論点と接続 |
| Human-in-the-loop | 承認ステップを挟める設計 | TF-0271(承認)と整合 |
| ローカルLLM連携 | Ollama等とHTTP/Code nodeで接合 | データを外に出さないAI自動化 |
AI Workflow Builderの生成結果はそのまま本番投入せず、権限・個人情報・誤動作の観点で人間レビューが必要です——TF-0493の「自動化=確認不要」は×です。
できること(主な機能)
400+ 統合ノード
Slack、Notion、Google、Salesforce、OpenAI等。Communityノードで拡張可能。
Webhook / スケジュール
イベント駆動・定期実行。Webhookはリアルタイム連携の定番。
Data tables
n8n内蔵の軽量DB。ワークフロー間で状態を保持。
Error workflow
失敗時に別フローで通知・リトライ。本番運用の必須パターン。
Queue mode
Enterprise Scaling。複数ワーカーで高負荷分散。
Insights
実行数・成功率ダッシュボード。Pro以上で期間フィルタ拡張。
よくある誤解
「n8n=完全無料で商用利用OKなOSS」は誤りです。Community Editionは無料セルフホストできますが、ライセンスはFair-codeであり、SSO・Git版管理等は有料プランです。
「Execution課金なら常にMake/Zapierより安い」も一概には言えません。高頻度スケジュール(1分間隔)や大量の独立WebhookはExecutionを急速に消費します。逆に50ノード超の複雑フローではn8nの方が予測しやすくなることが多いです。
「AI Workflow Builderがあれば設計不要」——生成されたフローはAPIキー・分岐条件・エラー処理の確認が必須です。試験では自動化ツールの権限と承認が別論点として問われます。
料金プラン(2026年6月時点)
以下は公式Pricing(n8n.io/pricing)に基づく年払い(17%割引)の整理です。Execution数はプランごとに上限があり、超過時はBusiness以上でオーバージュ請求の可能性があります(公式FAQ)。
Community
$0
セルフホスト(GitHub)
Starter
€20/月
2.5K executions
Pro
€50/月
10K executions
| プラン | 月額(2026年6月時点) | Executions/月 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Community Edition | 無料 | 自社管理 | セルフホスト・ほぼ全機能(Enterprise機能除く) |
| Starter | €20/月(年払い) | 2,500 | n8n Cloud・5同時実行・50 AI Builder credits |
| Pro | €50/月(年払い) | 10,000 | 20同時実行・Git履歴・Global Variables・150 AI credits |
| Business | €667/月(年払い) | 40,000 | セルフホスト・SSO/SAML・Git版管理・環境分離 |
| Enterprise | 要問合せ | カスタム | 200+同時実行・SLA・外部Secret Store |
Starter/Proは14日無料トライアル(クレカ不要)でPro相当機能を試せます。Businessはセルフホスト向けライセンスキーがメールで届き、Community Editionに適用する形です(公式FAQ)。
はじめ方・基本的な使い方
- Cloud or セルフホストを選択手早く試すならCloud無料トライアル、データ主権重視なら
docker run n8nio/n8n。 - ワークフロー新規作成テンプレートまたは空キャンバス。AI Workflow Builderで草案生成も可。
- トリガー設定Webhook・Schedule・App trigger。頻度とExecution消費を見積もる。
- ノード追加・CodeHTTP/Code nodeで社内API。単一ステップ実行でデバッグ。
- 有効化・Insights確認本番化後、ダッシュボードでExecution数と失敗率を監視。
ビジネスでの活用例
セキュリティインシデント連携
SIEMアラート→チケット enrichment→Slack通知。Vodafone事例では£2.2M削減(公式)。
社内LLMパイプライン
Ollama+n8nで文書要約→承認→DB保存。データを外に出さない。
EC・在庫Webhook
注文Webhook→在庫更新→メール。多段処理も1 Execution。
DevOps CI連携
GitHub Actions→n8n API→デプロイ通知。JSON workflowをGit管理。
メリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| Execution課金で多段フローのコスト予測がしやすい | セルフホストは運用・セキュリティパッチが自社責任 |
| Community Editionで無料セルフホスト可能 | 連携ノード数はZapier(9,000+)より少ない |
| JS/Python・HTTP・Gitで開発者体験が高い | ノーコードのみユーザーには学習コスト |
| AI Workflow Builder・Evaluations統合 | Fair-code——完全OSSとは異なるライセンス |
| EU(Frankfurt)Cloudでデータ所在が明確 | Business €667/月〜は中小には高額 |
主要ツールとの比較
| 項目 | n8n | Make | Zapier | Power Automate |
|---|---|---|---|---|
| 課金単位 | Execution(完走1回) | Credits(モジュール) | Tasks+Activities | フロー実行・Premium |
| ホスティング | Cloud+セルフホスト | Cloud SaaS | Cloud SaaS | Cloud(M365) |
| コード | JS/Python任意配置 | Make Code(Credits/秒) | Code by Zapier | 式・カスタムコネクタ |
| 連携数 | 400+(拡張可) | 3,000+ | 9,000+ | Microsoft中心 |
| AI統合 | AI Builder・LangChain | AI Agents・MCP | Zapier Agents・MCP | Copilot・AI Builder |
| 向くケース | セルフホスト・技術者 | 複雑分岐・Credits効率 | 連携厚み・MCP | M365・Teams中心 |
インフラ内完結・多段処理の予測可能コストならn8n、完全クラウドでノーコード重視ならMake、連携エコシステムとAI Agents二層ならZapier、Microsoft 365中心ならPower Automate——という棲み分けが試験・実務で使いやすいです。
こんな人におすすめ
- APIキーや個人情報を自社インフラ内に閉じたいエンジニア・情シス
- 50ノード超の複雑フローをExecution単価で運用したいチーム
- Git・Docker・CI/CD文化のある組織
- 試験対策で「セルフホストiPaaS=n8n」を押さえたい受験生
あえて向いていないのは、9,000+アプリのテンプレ厚みだけが欲しいケース(Zapier向け)、インフラ運用なしで15分で始めたい非エンジニア(Make Cloud向け)、ブラウザGUI操作の自動化(Manus・RPA向け)です。
よくある質問
Execution(実行)とは?
ワークフローが開始から完了まで1回走るたびに1 Executionです。ステップ(ノード)数に関係なく1回とカウントされるため、50ノードのフローも1 Executionです。MakeのCredits(モジュール単位)やZapierのTasks(成功アクション単位)とは数え方が異なります(2026年6月時点)。
無料で使えますか?
GitHubのCommunity EditionをDocker等でセルフホストすれば無料で利用できます。メール登録でフォルダ整理・デバッグピン等が解放されます。n8n CloudはStarter €20/月(年払い・2.5K executions)から。Starter/Proは14日無料トライアル(クレカ不要)あり(2026年6月時点)。
Makeとの違いは?
MakeはクラウドSaaSでCredits(モジュール実行)課金、ノーコードのシナリオ設計が中心です。n8nはセルフホスト可能でExecution課金、JS/Pythonコードノード・Git版管理・API/CLI制御など技術者向けの自由度が高いです。完全クラウドで手早く始めるならMake、インフラ内完結・多段処理の予測可能コストならn8n——という棲み分けです。
Zapierとの違いは?
Zapierは9,000+アプリ連携とZap/Agentsの二層課金が強みで、ノーコード利用者向けです。n8nは400+ノード(カスタム拡張可)で、セルフホスト・コードステップ・Execution課金が特徴です。連携の厚みとテンプレートならZapier、データ主権と開発者体験ならn8n——という整理が試験・実務で使いやすいです。
オープンソースですか?
n8nはFair-code(ソース公開・セルフホスト可)です。Community EditionはGitHubで入手でき、Enterprise/Business向け機能(SSO、Git版管理、環境分離等)は有料プランです。「完全なOSS=商用利用も制限なし」とは異なるため、社内ポリシー確認が必要な場合があります(2026年6月時点)。