LangGenius · ローカル・上級者向け

Difyとは?RAGとAgentic Workflowを一体構築するLLM基盤を解説

プロトタイプから本番まで——RAG・Agent・Workflow・Observabilityを1つのWorkspaceに

Sandbox 無料 Dockerセルフホスト MCP対応
対応環境
  • Web(dify.ai Cloud)
  • Docker Compose
  • Webapp / API公開
Dify公式のAgentic Workflowプラットフォームイメージ
出典:Dify(LangGenius)公式
更新日: 読了目安:約10分

Dify(ディファイ)は、LangGeniusが提供するオープンソースのLLMアプリ開発基盤です。チャットボット・RAGAgentWorkflowをGUIで設計し、WebアプリやAPIとして公開、Langfuse等でObservabilityまで一気通貫できます。GitHubで14万+スター(2026年6月時点)を超え、国内でも「LLMアプリを素早く作る基盤」として認知が広がっています。本記事は機能網羅ではなく、n8n(iPaaS)やOllama(ランタイム)との層の違い4種のアプリタイプ改変Apacheライセンスに絞って整理します。料金・上限は2026年6月時点です。

試験で問われる見方

生成AIパスポートでは、RAGAIエージェント業務データの取り扱いがセットで問われます。Difyは「RAGパイプライン+公開UI+ログ」をまとめて提供する具体例として押さえると、抽象概念が実務に結びつきやすくなります。

試験で混同しやすいのは次の2点です。①Dify=LLMそのもの、ではない——OpenAI・Ollama等を接続する側です。②Dify=Zapier/n8nの別名、でもない——SaaS連携自動化(iPaaS)ではなく、生成AIアプリの設計・運用基盤(LLMOps)です。

Difyとは

Dify(dify.ai)は、2023年にLangGeniusが公開したProduction-Ready Agentic Workflowプラットフォームです。公式スローガンは「Build Production-Ready AI Agent」——プロトタイプで終わらず、スケール・安定性・セキュリティを前提にした本番運用を想定しています。

技術スタックはGitHub上でTypeScript + Pythonが中心。Docker ComposeでPostgreSQL・Redis・ベクトルDB等を含む一式を起動し、ブラウザのWorkspaceからアプリを管理します。Cloud版(Sandbox / Professional / Team)とセルフホスト版(Community / Premium / Enterprise)の二系統があり、同一Dockerイメージ+ライセンスで機能差を付ける公式説明もあります(GitHub Discussions)。

公式は100万+アプリが稼働、50,000+チーム、130+国で利用と統計を掲げ、Volvo Cars・リコー等の導入事例を公開しています。国内でもエンタープライズQA Bot(19,000+従業員向け)のような大規模事例が公式サイトに紹介されています。

4種のアプリタイプ

Difyの独自性の一つは、用途に応じて4種のビルダーを使い分けられる点です。試験では「AIアプリ=チャットだけ」と決めつけず、Workflow型Agent型の違いを押さえると得点しやすくなります。

タイプ 概要 向く用途 試験での整理
Chatbot プロンプト+モデル+(任意)ナレッジの対話アプリ 社内FAQ、カスタマーサポートの第一線 単発〜複数ターンのチャット。ツール呼び出しは限定的
Agent LLMがツール(検索・API・MCP)を自律選択 調査・多段タスク・外部システム操作 AIエージェントの実装例
Workflow ノードを配線した決定的/分岐フロー 定型的なLLMパイプライン、承認付き処理 再現性重視。Human-in-the-loopと相性良い
Chatflow チャットUI+Workflowのハイブリッド 対話しながら複雑フローを進めるアプリ UXと制御の中間

いずれもWebappとして公開するか、APIとして外部システムから呼び出せます(Starter以上でロゴ除去等)。SandboxでもWebapp公開は可能ですが、リソース上限が厳しめです。

RAG・MCP・Observability

n8nにRAGノードを足すのではなく、Difyはナレッジベースがプラットフォームの中核です。PDF・Web・Notion等を取り込み、チャンク分割・ベクトル化・検索をGUIで設定し、アプリに紐づけます(公式:Get Your Data LLM Ready with RAG)。

Knowledge Pipeline

ドキュメント取込・チャンク・インデックス。External Knowledge API、Hybrid Search(プラン依存)。

MCP Client / Server

Native MCP Integrationで外部ツール接続。Difyアプリ自体をUniversal MCP Serverとして公開も可能(公式)。

Observability

LangSmith・Langfuse・Arize Phoenix等と連携。アプリログ・ランタイム分析(Professional以上で高度化)。

Marketplace

モデル・ツールプラグインをコード変更なしで拡張。コミュニティ投稿も可能(公式Ecosystem)。

試験のRAGは「検索で根拠を足してから生成する」構成です。Difyではナレッジ品質(チャンク・更新頻度)公開前の回答検証が利用者側の責任——TF-0409の「そのまま社外配布×」と直結します。

セルフホストとライセンス

Difyのセルフホストはlanggenius/difyリポジトリのdocker/からdocker compose up -dが公式導線です。最小要件はCPU 2コア・RAM 4GB(GitHub README)。Community Editionは無料ですが、ライセンスは改変Apache License 2.0であり、Apache純粋版と同一視しないでください。

条件(GitHub LICENSE) 内容 試験・調達での意味
商用利用 原則可能(社内アプリ基盤として) 「OSS=商用不可」とは限らない
マルチテナント禁止 書面許可なく複数Workspaceを外部提供するSaaS運用不可 自社1Workspaceなら通常OK
ロゴ・著作表示 フロントエンド利用時はDify表示を削除・改変不可 白ラベル要件はPremium/EnterpriseまたはAPI-only利用を検討
Premium / Enterprise 同一イメージ+ライセンスで機能解放(公式Discussions) SSO・複数Workspace等は有料セルフホスト

データ主権が必要な場合、Ollamaを社内サーバーに置き、DifyセルフホストからOpenAI互換APIで接続——という構成で、プロンプト・ナレッジを社内に閉じやすくなります(モデル推論は自社GPU/CPU依存)。

できること(主な機能)

マルチモデル

OpenAI、Anthropic、Azure OpenAI、Llama、Hugging Face、Replicate、Ollama等(公式Pricing)。

Webapp / API公開

ブランドカスタム(Professional+)。埋め込み・APIキー管理。

Trigger Events

Workflowのスケジュール・Webhookトリガー。Sandbox 3,000/月〜(公式)。

Annotation

回答への人間フィードバック収集。改善ループに利用(Quotaはプラン依存)。

Interactive動画相当

CTA・分岐・クイズ(Creator Cloud / 上位プラン)。研修・Lead獲得に。

Enterprise

SOC 2 Type II、SAML/SSO、Dedicated CSM、Implementation services(公式)。

よくある誤解

Dify=n8nの日本語版」は×です。n8nはSlack×Salesforce×HTTPの汎用ワークフロー、DifyはLLM推論・RAG・Agentが本体のプラットフォームです。連携は可能(Dify API+n8n HTTP node)ですが、役割は異なります。

セルフホスト=完全無制限・白ラベル自由」も誤りです。Communityは無料でもフロントのDify表示削除不可マルチテナントSaaS不可等の制約があります(LICENSE)。

RAGを載せれば幻覚ゼロ」も×です。検索ミス・古いドキュメント・不適切なチャンク分割で誤回答は起きます。試験のTF-0255・TF-0409と同様、人の確認が必要です。

Dify=Ollama」——Ollamaはモデル実行、Difyはアプリ構築。セットで使うのが一般的です。

料金プラン(2026年6月時点)

以下は公式Pricing(Cloud Service・月払い)です。年払いは17%割引。Self-hostedはCloud Marketplace経由の表記もあり、CommunityはGitHubから無料デプロイが基本です。

Sandbox

$0

200 message credits/月 · 5 Apps · 50 Knowledge Docs

Professional

$59/月

5,000 credits · 50 Apps · 5GB KB · ロゴ除去

Team

$159/月

10,000 credits · 200 Apps · 50メンバー · Trigger無制限

項目 Sandbox Professional Team
message credits 200/月 5,000/月 10,000/月
メンバー 1 3 50
アプリ数 5 50 200
ナレッジ 50 docs / 50MB 500 docs / 5GB 1,000 docs / 20GB
Trigger Events 3,000/月 20,000/月 無制限
ログ保持 30日 無制限 無制限
API Rate Limit 5,000/月 なし なし

message creditsはLLM推論・アプリ実行の共通プールです。接続先OpenAI等のAPI料金は別途(セルフホストではDify creditsなし・プロバイダ課金のみ)。学生・教育者向け無料プログラムも公式にあります。

はじめ方・基本的な使い方

  1. Cloud or セルフホストを選択 試すだけならSandbox登録。データ閉域ならDocker Compose。
  2. モデルプロバイダを設定 OpenAI APIキー、またはOllama/OpenAI互換エンドポイントをWorkspaceに登録。
  3. Knowledgeを作成(RAGする場合) PDF/Web等をアップロード。チャンク設定を確認。
  4. アプリタイプを選びビルド Chatbot / Agent / Workflow / Chatflow。テスト実行で回答品質を確認。
  5. WebappまたはAPIで公開 社内PoC→Annotationで改善→本番。Observabilityを接続。
DifyのAgentic Workflow構築イメージ
出典:Dify(LangGenius)公式

最小PoCは「社内規程PDF 1本+Chatbot 1体」から始め、幻覚・権限漏れがないか検証してからAgentやWorkflowへ拡張する——という段階的導入が安全です。

ビジネスでの活用例

エンタープライズQA Bot

19,000+従業員・20+部門向け社内FAQ(公式事例)。RAG+権限設計が鍵。

カスタマーサポートAgent

ナレッジベース+ツール呼び出しで一次対応。Annotationで継続改善。

営業・マーケWorkflow

複数LLMステップ(要約→分類→メール草案)をGUI配線。n8nよりLLM特化。

ローカルLLM+Dify

Ollama/LM Studioをプロバイダ接続。機密文書を外に出さないPoC。

MCP連携

社内DB・GitHub・SlackをMCP経由でAgentに接続。2026年の拡張軸。

スタートアップMVP

Sandbox→Professionalでアイデア検証。API公開でプロダクト組込み。

メリット・デメリット

メリット デメリット
RAG・Agent・Workflowが1 Workspaceに統合 純粋なSaaS連携自動化にはn8n/Zapierの方が厚い
セルフホスト+Ollamaでデータ閉域しやすい セルフホスト運用(DB・ベクトル・更新)の負荷
Sandbox無料でPoC可能 Cloudはmessage credits上限が厳しめ
MCP・Observabilityで本番志向 改変Apacheのマルチテナント・ロゴ制約
国内含めエンタープライズ事例が豊富 RAG品質・権限設計は利用者側の責任

n8n・Ollama・Zapierとの比較

観点 Dify n8n Ollama Zapier
レイヤー LLMアプリ基盤(LLMOps) iPaaS(API自動化) LLMランタイム iPaaS(ノーコード連携)
RAG 第一級機能 ノード/外部連携 なし(実行のみ) 限定的(AI Actions)
Agent GUIビルダー LangChainノード等 tool calling(モデル依存) AI Agents(別枠課金)
セルフホスト Docker(改変Apache) Docker(Fair-code) ローカルインストール クラウドのみ
課金目安 Sandbox $0 / Pro $59/月 CE無料 / Cloud €20/月〜 ローカル無料 Free〜 / Team $20/月〜
試験での整理 LLMアプリ+RAG基盤 Execution課金iPaaS ローカルLLM実行 9,000+アプリ連携

一文で整理:モデルを動かす=Ollama、SaaSをつなぐ=n8n/Zapier、LLMアプリを作って公開=Dify——3層を分けて覚えると試験もPoC設計も迷いにくくなります。

こんな人におすすめ

  • 社内FAQ・RAGチャットボットを短期間でPoCしたいチーム
  • Agent+Workflowをコード少なめで本番公開したい開発者
  • Ollama/LM Studioと組み合わせてデータを閉じたい情シス
  • 試験でRAG・エージェント・iPaaSの違いを具体例で押さえたい受験生

あえて向いていないのは、9,000アプリ連携の定番自動化だけZapier/n8n向け)、LLM実行環境そのものだけ欲しいOllama向け)、汎用Text-to-Video(Runway向け)です。

よくある質問

Difyとn8nの違いは?

n8nはSaaS/API連携をノードでつなぐiPaaS(ワークフロー自動化)が中心で、AIはノードの一つです。Difyは最初からLLMアプリ(RAG・Agent・チャットボット)の設計・公開・監視を一体化したLLMOps基盤です。Slack通知の自動化ならn8n、社内FAQボットやRAGエージェントのプロトタイプ〜本番ならDify——という棲み分けが試験・実務で有効です(2026年6月時点)。

Difyは無料で使えますか?

はい。CloudのSandboxプランは$0で200 message credits/月、5アプリ、50ナレッジドキュメントが使えます。セルフホストはGitHubからDocker ComposeでCommunity Editionを無料デプロイ可能です(CPU 2コア・RAM 4GB以上推奨)。本番向けはProfessional $59/ワークスペース/月から(2026年6月時点・公式Pricing)。

DifyとOllamaの関係は?

OllamaはローカルLLMランタイム、Difyはその上に載るアプリ構築プラットフォームです。DifyはOpenAI/Anthropicに加えOllamaやOpenAI互換APIをモデルプロバイダとして接続でき、RAGやAgentをGUIで組み立ててWeb/APIとして公開します。LLMを動かすのがOllama、LLMアプリを作るのがDify——と整理すると混乱しにくくなります。

message creditsとは?

Dify Cloudでは、LLM推論やアプリ実行にmessage creditsが消費されます。Sandboxは200 credits/月、Professionalは5,000 credits/月、Teamは10,000 credits/月(2026年6月時点・公式Pricing)。WorkflowのTrigger Events(Sandbox 3,000/月等)は別枠で管理されます。セルフホストCommunityはDify側のcredits制限なく、接続先LLMのAPI料金のみが発生します。

セルフホストのライセンスに注意点は?

Difyは改変Apache License 2.0です。商用利用は可能ですが、書面許可なくマルチテナント(複数Workspaceを外部に提供)運用は不可、フロントエンド利用時はDifyのロゴ・著作表示を削除・改変不可——という追加条件があります(GitHub LICENSE)。同一Dockerイメージにライセンスで機能差を付けるPremium/Enterpriseも公式に存在します(2026年6月時点)。