Recraftは、Recraft社が提供するデザイナー向けの生成AI画像サービスです。MidjourneyやDALL·Eが主にラスター(PNG/JPEG)を返すのに対し、Recraftの差別化はプロンプトから編集可能なSVGベクターをネイティブ生成できる点にあります。アイコンセット、ブランドイラスト、ロゴの方向性探索など、Figma・Illustratorで仕上げる前提の素材を狙うツールです。2026年2月公開のRecraft V4はラスターとベクターの4モデル構成で、Freeユーザーでも全モデルを選べます。本記事は機能の網羅リストではなく、「ラスター生成AI」と「ベクター生成AI」の境界、クレジット制と商用権、Ideogram・Adobe Fireflyとの棲み分けに絞って書いています。料金・権利は2026年6月時点の公式情報に基づき、利用前に必ず再確認してください。
試験で問われる見方
生成AIパスポートやG検定では、Recraftの名前そのものよりText-to-Image(テキストから画像)と生成物の確認・権利が問われます。Recraftは拡散モデル系の画像生成に、ベクター出力という製品設計を載せた例として整理すると試験と実務の両方に効きます。
TF-0496「生成結果のレビュー」、TF-0497「出力の権利・利用範囲」、TF-0348「商用利用と利用規約」は、Recraft利用時に特に直結します。Freeプランでは生成物が公開されRecraftが所有する——有料プランでは非公開+商用権——という二層構造は、試験の「規約を読まずに納品(×)」パターンの具体例になります。
このサイトの演習で確認する
生成AIパスポート:一問一答 TF-0184(拡散モデル)、TF-0348(商用利用と利用規約)、TF-0496(生成結果のレビュー)、TF-0497(出力の権利・利用範囲)
G検定:実践演習 G-391(Text-To-Image)、一問一答 TF-170(生成AI)
関連ツール比較:Ideogram · Adobe Firefly · Canva
Recraftとは
Recraftは2023年頃に公開された、プロのデザインワークフローを想定した画像生成プラットフォームです。WebのRecraft StudioとAPIを提供し、ラスター画像だけでなくSVG・PDF・Lottieなど、制作現場で使う形式でのエクスポートを前面に出しています(公式ドキュメント)。
一般的な画像AIは「きれいな1枚のPNG」を返すことがゴールになりがちです。Recraftは生成後も編集できる幾何学(パス・レイヤー)を返すことで、アイコンセットの統一やブランドイラストの量産といった、デザインシステム寄りの課題を狙っています。2026年2月のRecraft V4公開以降、モデル選択はV4ファミリーが中心になりつつあります(公式)。
試験では、Recraftを「Text-to-Imageの一サービス」と「ベクター形式を直接返せる特例」の両方として覚えると、他ツールとの比較問題で混乱しにくくなります。
ラスターAIとベクターAIの違い
画像生成AIを選ぶとき、出力形式の違いは実務で最も効きます。Recraft理解の核心はここにあります。
| 観点 | ラスター出力(PNG/JPEG等) | Recraftのベクター出力(SVG) |
|---|---|---|
| 中身 | ピクセルの格子データ | Bezierパス・色領域・レイヤー構造 |
| 拡大 | 大きくするとボケやジャギー | 理論上は無限拡大可能 |
| 編集 | Photoshop等でピクセル編集 | Figma/Illustratorでパス・色を直接変更 |
| 典型ツール | Midjourney、DALL·E、Ideogram | Recraft(ネイティブ生成) |
| よくある落とし穴 | 「PNGをIllustratorで自動トレース」 | トレース不要だが、複雑な写真風はラスター向き |
重要なのは、RecraftのSVGがラスター画像をSVGコンテナに包んだだけではない点です(公式・第三者レビュー共通の説明)。パスデータとして開けるため、アイコンの線幅統一やブランドカラーの一括差し替えが、トレース工程なしで始められます。逆に、写真リアルな人物ポートレートのような用途はラスター系モデル(V4 / V4 Pro)や他ツールの方が向くことが多いです。
Recraft V4モデル群
2026年2月公開のRecraft V4は、同じ「デザインの味」を保ちながら解像度と出力形式で4系統に分かれます(公式ドキュメント)。
| モデル | 出力 | 解像度・速度(目安) | 向く用途 |
|---|---|---|---|
| Recraft V4 | ラスター | 約1024px・約10秒 | Web/SNS素材の素早い反復 |
| Recraft V4 Pro | ラスター | 約2048px・約30秒 | 印刷・大型ディスプレイ向け |
| Recraft V4 Vector | SVGベクター | 標準・約15秒 | アイコン・イラスト・UI素材 |
| Recraft V4 Pro Vector | SVGベクター | 高解像度・約45秒 | 詳細なベクターイラスト・大型印刷 |
公式は「Freeユーザーも含め全ユーザーが4モデルを選択可能」と明記しています。クレジット消費は操作種別に加え選択モデルの価格倍率が掛かるため、ベクター系はラスターより多めに消費される想定で計画してください(公式Creditsページ)。
なお2026年6月時点、公式ドキュメントはV4でStyle creation(スタイル作成)・プロンプトベース編集・Image setsなどが未対応と記載しています。Studio全体の機能とV4単体の対応範囲は一致しない場合があるため、利用前に公式のRecraft V4ページで最新状態を確認してください。
Recraft Studioでできること
Recraft Studioは「生成だけ」ではなく、デザイン素材の前処理・後処理まで含むワークベンチです(機能名は変更あり)。
プロンプトから画像・ベクター生成
Text-to-Imageの基本。V4モデル選択でラスター/ベクターを切り替え。
Style Lock / カスタムスタイル
参照画像からブランドの色・線幅・タッチを固定し、量産時の統一感を保つ(Teamsでは共有)。
Mockup / Mockupize
生成物を製品モックアップに載せる。プレゼン・クライアント確認向け(2クレジット程度)。
Creative Upscale
AIによる高品質アップスケール。20クレジットと高め(公式Credits表)。
領域編集・背景置換
Inpaint/Erase/Replace background等。生成後の微修正をStudio内で完結。
多形式エクスポート
SVG、PNG、JPG、PDF、TIFF、Lottie等。制作ツールへの持ち込みを想定(公式)。
API(サブスクとは別課金)
RecraftはAPIでもV4モデル群にアクセスできます。Studioの月次クレジットとは別の従量課金が一般的で、例えばReplicate経由ではV4ラスター約$0.04/枚、V4 SVG約$0.08/枚といった公開価格が参照できます(2026年6月時点・外部ホストの料金表)。自社プロダクトにアイコン生成を組み込む場合は、Studio契約とAPI契約を混同しないことが重要です。
よくある誤解
「SVGが出る=ベクター化ツール」——Recraftは生成段階からベクター幾何を作るサービスであり、Adobe Illustratorの「画像トレース」と同じカテゴリではありません。既存PNGの後処理なら別ツール、新規素材をパスとして生むならRecraft、と分けてください。
「Recraft=Ideogramの上位互換」も誤りです。Ideogramは画像内テキストを含むラスターに強く、Recraftは編集可能ベクターとデザインシステムに強い。キャッチコピー入りバナーのたたき台はIdeogram、統一線幅のアイコン12個はRecraft——用途で選びます。
「Freeで作ったSVGは自由に商用利用できる」も×です。公式Pricingは、Freeプランの画像はRecraftが所有し公開されると説明しています。クライアント納品・ストック販売・非公開案件には有料プランが前提です(TF-0348)。
料金・クレジット・商用権
Recraftはクレジット制です。操作ごとに消費量が異なり、モデル選択で倍率が変わります(2026年6月時点・公式Credits / Paid plans)。
プラン概要
Free
$0
日次30クレジット・V4全モデル利用可
Basic
$10〜12/月
月1,000クレジット・非公開・商用権
Pro
$16〜160/月
2,000〜16,000クレジット(段階制)
Teams
$18〜176/月
共有スタイル・SSO・管理機能
| 項目 | Free | 有料(Basic / Pro / Teams) |
|---|---|---|
| クレジット | 30/日(繰越なし) | 月次付与(繰越なし)+Top-up購入可 |
| 公開設定 | 生成物は公開(ギャラリー) | 非公開生成が可能 |
| 著作権・商用 | Recraft所有(商用は制限あり) | ユーザーに完全所有権・商用権(契約中) |
| Top-up | 不可 | 200/800/1000/1600単位・失効なし |
| 年払い | — | 最大約20%割引(公式) |
主なクレジット消費(目安)
| 操作 | クレジット | 備考 |
|---|---|---|
| プロンプトから生成 | モデル価格×1 | ベクター系はラスターより多め |
| Creative Upscale | 20 | 高品質化は計画的に |
| Mockup / Mockupize | 2 | プレゼン確認向け |
| 背景除去・Crisp Upscale | 1 | 軽い後処理 |
有料解約後も、有料期間中に生成した非公開画像は非公開のまま残ると公式FAQが説明しています。ただし新規生成の非公開・商用権は契約状態に依存するため、案件のタイミングでプランを確認してください。
はじめ方・基本的な使い方
ベクター品質とクレジット効率を両立するには、最初から「編集前提」で指示を書くのがコツです。
- アカウント作成 recraft.ai からサインアップ。FreeでもV4全モデルが選べます(公式)。
- 出力形式を決める 写真風ならV4/V4 Pro、編集可能アイコンならV4 Vector/V4 Pro Vectorを選択します。
- スタイルを固定する ブランド案件ではStyle Lockやカスタムスタイル(Teams)で線幅・配色を揃えます。アイコンセットはプロンプトの骨格を固定し、主語だけ変えると統一しやすいです。
- 生成→SVGをエクスポート Figma/Illustratorで開き、パス・色を手直しします。ここがRecraftの本番です。
- 商用前にプランと規約を確認 クライアント納品・ストック販売は有料プランとOwnership条項を必ず確認します(TF-0497)。
ビジネスでの活用例
社内ガイドライン・クライアント契約・Recraft利用規約の確認が前提です。
プロダクト・UI
- アプリアイコンセットのたたき台
- 空状態イラスト(SVG)
- オンボーディング用ピクトグラム
ブランド・マーケ
- Style Lockで統一したイラスト群
- Mockupでの製品ビジュアル確認
- LP用フラットイラストの素案
開発・API連携
- 管理画面の動的アイコン生成
- テンプレート+style_idでの量産
- CDN配信用SVGのバッチ生成
試験・学習
- ラスターとベクター出力の違い
- 商用権・公開設定の整理
- 画像AIの棲み分け表の作成
いずれも最終稿は人間デザイナーのレビューが前提です。特にロゴや商標に近い生成物は、類似商標・クライアントガイドラインとの抵触を必ず確認してください(TF-0496)。
メリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ネイティブSVGでFigma/Illustratorに直結 | 写真リアル・複雑なシーンはラスター系AIに劣ることも |
| Recraft V4でFreeから全モデルを試せる | Freeは公開生成・Recraft所有で商用に不向き |
| Style Lockでブランド統一の量産向き | ベクター生成はクレジット消費がやや多め |
| Mockup・Upscale等、Studio内で前後工程を完結 | V4時点では一部Studio機能が未対応(公式) |
| APIでプロダクト組み込みも可能 | API課金はサブスククレジットと別管理 |
Ideogram・Midjourney・Fireflyとの比較
「どの画像AIを選ぶか」は出力形式と制作工程で決まります。
| 比較項目 | Recraft | Ideogram | Midjourney | Adobe Firefly |
|---|---|---|---|---|
| 主な出力 | SVGベクター+ラスター | ラスター(文字入り強) | ラスター(芸術探索) | ラスター(Adobe連携) |
| 編集前提 | ◎(パス編集) | ○(PNG編集) | △(探索・選別) | ○(Photoshop等) |
| アイコン・UI素材 | ◎ | ○ | △ | ○ |
| 画像内テキスト | ○ | ◎ | △ | ○ |
| 無料で試す | ○(30cr/日) | ○ | × | ○(Adobe枠) |
| 向いている用途 | ベクター資産・デザインシステム | 文字入りバナー・ポスター | コンセプトアート | Adobeユーザー向け |
編集可能なSVGアイコンならRecraft、キャッチコピー入りサムネイルならIdeogram、画質探索ならMidjourney、Photoshop/InDesign中心ならAdobe Firefly——という整理が実務的です。Canvaはテンプレート型デザインツールであり、Recraft単体とは「素材生成」と「レイアウト編集」で役割が補完関係になります。
こんな人におすすめ
- Figma/Illustratorで仕上げるUI・ブランドデザイナー
- 統一感のあるアイコンセットを短時間で量産したいプロダクトチーム
- APIで動的SVGを生成したい開発者
- 「ラスターとベクターAIの違い」を試験・実務両方で整理したい学習者
あえて向いていないのは、文字入りラスターバナーだけが目的の場合(Ideogramの方が先に試す価値あり)、Freeのままクライアント納品する場合(商用権・非公開が不足)、1枚の芸術写真だけを最優先する場合(Midjourney等との比較が先)です。
よくある質問
Recraftは無料で使えますか?
はい。Freeプランでは日次30クレジットでRecraft V4を含む主要モデルを試せます。ただし生成物は公開(コミュニティギャラリー)となり、著作権はRecraft側に帰属します。非公開生成と商用利用の完全な権利は有料プランが必要です(2026年6月時点)。
Recraftの最大の特徴は何ですか?
プロンプトから編集可能なSVGベクターをネイティブ生成できる点です。ラスター画像を後からトレースするのではなく、Bezierパスを持つ本物のベクターファイルとして出力され、FigmaやIllustratorで色・形状を直接編集できます。
RecraftとIdeogramの違いは?
Ideogramは画像内テキストを含むラスター(PNG等)生成に強い一方、Recraftはアイコン・イラスト・ブランド素材向けのネイティブSVGベクター生成が強みです。文字入りバナーのたたき台ならIdeogram、編集可能なベクターアセットならRecraft、という棲み分けが現実的です。
Recraft V4とは?
2026年2月公開のRecraft独自モデル群です。ラスター(V4 / V4 Pro)とベクター(V4 Vector / V4 Pro Vector)の4系統があり、デザインの「味」——構図・配色・意図的なディテール——を重視した出力が特徴とされています。Freeユーザーでも全V4モデルを選択できます。
Recraftは商用利用できますか?
有料プラン契約中は生成物の完全な所有権と商用利用権が付与されます。Freeプランの画像はRecraftが所有し公開されるため、クライアント納品やストック販売には不向きです。契約前に公式のOwnership and commercial usageを必ず確認してください。